『純粋理性批判』経験の類推について。

読書箇所は、「経験の類推」についての論述です。経験の類推とは、次のようなことを指して言われる概念です。すなわち、私達が世界をばらばらな現象の寄せ集めでなく、まとまりをもち、互いに連関して生起する現象の系列だと認識するには、もろもろの知覚が総合的に統一されている必要があります。かつまた、私達にとって世界が秩序をもった総体として現前するためには、知覚の統一に必然性がなくてはなりません。この必然性は、「実体は常住不変のものとして存在しているから、自然における実体の量は増減しない」という類推を始めとする三つの類推から導かれるので、これらを「経験の類推」と呼ぶのです。